高齢で認知症の相続人がいる場合の遺産分割の進め方は?
認知症の相続人がいる場合、成年後見制度を利用しましょう。
1 概説
相続は、被相続人の「死亡によって開始」し(民法882条)、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継」します(民法896条)。この時、相続人が複数いる場合、遺産は「共有」となります(民法898条1項)。この共有状態となった遺産を各相続人に分配する手続が遺産分割です。
遺産分割の方法には、現物分割、価格分割、代償分割があり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、この記事では割愛します。
2 相続人の1人が認知症の場合の遺産分割協議
⑴ 遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があり、参加すべき相続人を除外してされた遺産分割協議は無効です。また、遺産分割協議は判断能力を要する行為であることから、判断能力の低下した相続人の方をそのまま遺産分割協議に加えて署名押印させても無効となる可能性があります。そこで、確定した相続人の中に認知症の方がいる場合には、成年後見制度を利用することが考えられます。
⑵ 成年後見制度は、精神上の障害により判断能力を欠く常況にあるある者を対象とするもので、家庭裁判所が選任した成年後見人が成年被後見人の財産管理等をすることで成年被後見人の保護や支援を図る制度です。
家庭裁判所に成年後見人選任の申立てを行い、成年後見人が選任されたのちにその成年後見人を含めて遺産分割協議を行うことにより有効な遺産分割協議を成立させることができます。
3 おわりに
遺産分割協議には、遺産範囲確定のための調査や相続人の特定など、多くの時間と労力が見込まれるケースも少なくありません。トラブルを防ぎながらスムーズな遺産分割協議を行うためにも、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
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